卒後臨床研修・キャリア形成支援センター
肺炎をたくさん診れば、風邪をたくさん診れば、きちんと診断できるようになるでしょうか?
環境が変わったり、今までとは違う主訴に対応できるには、正しい思考の型を知ることや多様に通じる診断力を
身につける事が大切です。名大病院の研修では、一人ひとりの患者さんに向き合うことで
基礎を身に付け様々な場で応用できる診断力を育てられます。
初期研修病院を選ぶとき、皆さんそれぞれに基準があると思います。医師としての土台となる、基礎疾患を通して手技を身につけられること、多くの症例にあたり経験を積めること、などを考えている方が多いでしょうか。それに対して名大病院の初期研修について、難しい症例が多く手技が身につかない、そもそも症例数が少なく経験が積めない、というイメージを持たれていると聞きます。
それは正解でもあり、不正解でもあると私は考えます。そもそも、初期研修の2年間で身につけるべき医師としての土台とは何でしょうか。私は、手技はもちろんですが、診断する力だと思っています。初期研修が終わったら、あなたは主治医になる。主治医は、単純な症例をこなすことが仕事ではなく、多様な情報を集め、適格な診断をし、最良の治療を施すことが求められます。そのための準備期間として初期研修をとらえたとき、いやむしろ、3年目以降に活きるための初期研修とは何かを考えて組み立てられたのが、名大病院の初期研修なのです。
基礎疾患かつ、ほぼ単一の疾患である患者さん中心の初期研修の場合、多くの疾患数にあたれることは間違いありません。本来であれば、そこに共通する感染症の管理をどうすべきか、治療においてフォローしていくパラメータはどういうものがあるかといったことを一つひとつ考える必要があります。ただ、初期研修の段階で単一の疾患に慣れてくると、「前の症例と似ているからこの疾患」という診断をしてしまいがちです。前と同じようにやればうまくいくことも多いでしょう。しかしそれは、とても危険なことだと思いませんか。
一方で名大病院の場合、複合的な疾患を持つ患者さんの診察が多くなります。あたれる患者数は他の病院に比べて少ないでしょう。しかし、一つ治療しても他のことがうまくいかないといったことがどうしても多くあり、どのように情報を集め、どのように整理し、そこから何が問題かを把握して解決策を導き出す。そして良くなる場合、次は何に着目するか、そのパラメータが動いた場合に何を考えていくか、ということを一つひとつ丁寧にひも解いていきます。これを初期研修の期間中に徹底的に身につけることこそが、本当の意味での、3年目以降に主治医になった際に役立つことだと思います。
名大病院の初期研修であたれる症例数が少ないといっても、コモンの症例には必ず遭遇します。同じコモンを何十例と経験するよりも、数少なくてもよいので複雑な疾患について適切な診断をする経験をした方が力になります。そして患者数は少ないかもしれませんが、克服する経験ができる問題の数でいえば、むしろ名大病院は圧倒的に多いのではないでしょうか。
また総合診療科での研修では、毎日朝のカンファレンスで研修医からも意見をもらい、日中の病棟管理などを経て、夕方には実際にどうだったかを改めて発表してもらいます。見学するだけではありません。その場で研修医も交えてディスカッションをしながら現場に即した知識を積み上げていく。そして、経験したことを次の症例にきちんと活かせるように、一つの経験から本質的なものを抜き出したり、あるいはここは特殊な部分だなと区別しておいたりと、一つの症例でどれだけ食い尽くして次にできるか、ということを考えた指導を行っています。念のため考える、隅から隅まで目配せをする。そのような、医師としてとても重要なクセも身につけてください。それは将来の安全や安心、そして質の高い医療を提供する素養です。
数ある初期研修病院の中で、名大病院を魅力的に感じた理由の一つが、12週間もある麻酔科での研修です。初期研修医は基本的に救急外来を担当することになると思いますが、いきなり救急を担うのは誰しもプレッシャーがあると思います。その点、名大病院では長期間の麻酔科研修を通して、ルートやAラインをとる、挿管する、といった基本的な手技をマスターすることができます。もちろん救急でも可能ですが、麻酔科の場合は管理された状態での挿管ですので、やはり安心感があります。12週間で100例以上の経験ができますし、多様な診療科の手術が見られるのも大きいですね。
またそれ以外の診療科においても、指導医の先生とともに患者さんを診断し、自分の方針を伝える機会があります。それに対して指導医の考えを聞き、その違いについて学ぶことができます。これを一つひとつ丁寧に行ってくださることで、一歩ずつ成長していく実感があります。研修医は忙しい日々ですが、きちんと立ち止まる機会がある。これも大きな魅力です。
難しい症例の多い環境下での研修ですから、もちろん大変な面もあります。しかし、働く環境、という意味では、とても恵まれていると思います。例えば研修医室の存在。これは1・2年目の研修医、歯科研修医や薬剤師レジデントのみが基本的に入れる場所。ちょっと相談したり、同じタイミングで帰る同僚を飲みに誘ったりがとてもしやすい。歯科・薬科と一緒ということも稀ですし、大学病院ということもあって研究医になりたい人をはじめ、多様な分野に進みたいと思っている人に出会えます。大学病院の中では少人数の研修医数ですから仲も深まり、将来の大きな人脈になると感じています。
救急外来の待機がないのも名大病院の初期研修の特徴で、オンオフをしっかり切り替えられる点もいいですね。給与も国立の大学病院としては高いと感じますし、なんといっても街中にあるので住みやすい。寮も徒歩5分の距離で、しかも低価格です。充実した研修と充実した生活、そして将来に役立つ実力とネットワーク形成、そのすべてが名大病院には揃っています。
総合診療科の研修例
所属
卒後臨床研修・キャリア形成支援センター
身分
医員(研修医):非常勤
給与研修手当
諸手当(研修奨励手当、超過勤務手当等)を含めて月額約35万円程度
休日手当は支給しない。
勤務時間
8時30分~17時15分(休憩時間:60分)※ 週38時間45分勤務。
ただし、ローテート期間中は始業時間、終業時間に変動あり。
休暇
年次休暇:1年次10日、2年次11日
その他の休暇:夏季休暇(6日間)、忌引休暇など
日当直
ひと月当たり5回程度
社会保険労働保険
健康保険、厚生年金
労働者災害補償保険法の適用 有
国家・地方公務員災害補償法の適用 無
雇用保険 有
医師賠償責任保険の扱い 病院で加入(全員加入)
健康管理
健康診断 年2回実施 各種予防接種 実施
その他
外部の研修活動、学会、研究会等への参加可能
(学会、研修会等への参加費用の一部支給あり)
保育施設:有(定員制)
研修医室:有
研修用宿舎:有
※2年間の初期臨床研修期間中は、アルバイトは禁止とする。
名古屋大学医学部附属病院では、医師としての人格をかん養し、患者を全人的に診ることができ、
かつ、高水準の医療の提供や将来の医学の発展に寄与することのできる医師を育成する。
プライマリ・ケアやチーム医療の実践等、
全ての医師が身につけるべき基本的臨床能力の修得をサポートする。
地域の協力施設と密に連携して、
その時代の地域社会・患者のニーズに柔軟に対応する能力を育成する。
学内外研究者とも連携して、
新しい医学・医療を開拓していく研究マインドを育める場を作る。
興味や志望する領域、将来のキャリアパスなど
研修医の個別的志向へ柔軟に対応していく。
指導医、看護師およびその他の医療従事者をはじめとする
病院職員全員が研修医教育に参加する。